上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
言葉を軽く見る呪術師というのは、どうも好きになれない。
武士が刀で薪を割っているのを見るような、そんな気持ちになる。

そいつが三流以下なのはいいとして…とてもじゃないが、見ていられないだろう?


さて、それはともかく。
どうしようもない話を一つ。
ある所に呪術師を志した者が居た。
彼は東洋、西洋に関わらず様々な呪術を学び、そこに一つの体系を作った。
秘伝の技の類ではなく、学問の一つ。そして学び身に付ける事のできる技術として完成させるに至ったのだ。
それは「陰陽術」「死霊術」「魔術」などのくくりを廃した万能の力になり得るものだった。それらで行える全ての事象を、理論に沿って再現できるのだから。

だがそれは神の力には程遠かった。
言うなれば彼の呪術は新興宗教。
歴史や重ねた血の数すらも力に変えるのが呪術である。

所謂「本家」達(神道や陰陽師達だろうか)には足元にも及ばない。

そこで彼は一つの手を打った。


100年程経ったろうか。そこには一つの部族が出来ていた。
彼を発端とし、捨て子や流れ者をかき集め、隔離し、僅かながらに血を重ねた一つの部族が。
彼等は「群隊」として呪術を行った。
自分たち全てで一つの生き物。そう見立てることで歴史の浅い彼等もようやく一人前の呪術を行使するに至っていたのだ。(それでも例えば本家の当主の血筋の一人、などには遠く及ばなかったが)

細々と生きながらえ、それでも神になれる可能性を持った彼等の中に、ある時一組の双子が生まれた。
その兄の才能は群を抜いて高く、次第に当主の候補として見られるようになった。

だがそこで一つの転機が訪れる。
当主になることが決まり、修行と称して世界を回っていた彼が、異国で一人の女を見初めたのだ。
彼には許婚が居た。
だから、なのかそれでも、なのか。彼と彼女は手に手を取って行方をくらませた。

しかし呪術師たちはそれを許さない。
閉鎖的に血を重ねるための掟に、それは真っ向から反している。
そして彼等の情報をわざわざ外に漏らすわけにはいかなかった。

彼等はそれまで同様、一丸となって裏切り者に呪いをかけた。

愚かな事だった。

呪いをかけられた彼は、それが集団によるものだと知っていた。
彼は丁寧にそれを読み解き、一人一人に対して呪詛を返していった。
そして飛びぬけた才能を持った彼に、一対一で勝てるものなど一人もいなかった。

見事家族達を皆殺しにした彼も、脳が焼ききれたか、はたまた呪いを捌ききれなかったものか、その場で命を落とした。
彼の伴侶は信じられないほど凄惨なその最後を見て、壊れてしまった。


この不幸な結末を知るものはほとんどいない。
獣の中に身を置く彼女の弟も、そんな事は露ほども…


壊滅したと思われた呪術師の一族には、一人だけ生き残りが居た。
当主になった彼の、出来損ないの双子の弟。

この男にとっても、これは大きな転機となるのだが。
それはまた別の話。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。